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笹幸恵
2015.4.27 13:00

「沖縄戦」明日発売です

企画が持ち上がってから紆余曲折あり、

一年以上かかりましたが、いよいよ

拙著『沖縄戦 二十四歳の大隊長』

明日発売となります!

 

その昔、『沖縄決戦』という映画がありました。

牛島軍司令官が小林桂樹、

長勇参謀長が丹波哲郎、

八原博通高級参謀が仲代達矢・・・

その他軍司令部を中心として

多くの将兵が出てくる中で、

沖縄戦を戦った部隊のひとつ、

第24師団では、たった一人だけ、

ある大隊長が登場します。

それが本書の主人公、

歩兵第32聯隊第一大隊長の

伊東孝一氏です。

 

24歳の若さで800名の部下を率い、

日本軍の総攻撃で唯一、米軍陣地を

奪取するという戦果をあげました。

 

丹波哲郎(長参謀長)は、軍司令官に

向かっていいます。

「閣下、これは感状ものですぜ」

 

若き大隊長はなぜ突出した戦果をあげることが

できたのか。

陸軍士官学校の教育に疑問を抱きながら

独学で戦術の勉強をはじめ、

「真実は何か」をつねに見極めようと

し続けた伊東大隊長。

それは94歳になった今も変わらず、

ちょっと頑固で偏屈。

でも周囲に流されず、人に惑わされず、

先入観にとらわれず、つねに思考し続ける姿は、

人としての誠実さの表れだと思います。

 

「何かおかしい」と思っていても、

「まあいいか」とか、「どうせ言っても変わらない」とか、

ついつい長いものに巻かれてしまうのが人の常。

いつの間にか、巻かれている感覚すらなくなり、

自分の属する組織や集団の「常識」こそが

普遍的一般的であるかのように感じてしまうものです。

けれど伊東大隊長は「おかしい」と思い続け、

独学で勉強を続け、そしてもはや組織が

崩壊寸前の中、第一線に投入されます。

くさらず、おごらず、部下を率いて任務を果たす。

簡単なようでいて、決して簡単ではありません。

それは沖縄という戦場をなぞるだけでなく、

自分が今いる組織で、社会で、

一人の人間としてどう生きるかを

示してくれているのではないか。

・・・などと考えながら執筆しました。

 

ちょっと分厚い本ですが、

ぜひご一読ください!

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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